看護師を通じて学んだ【聴く】という力
2016/02/07
私は5年間看護師として総合病院に勤務していました。人の生死に関わる現場を目の当たりにして、普段生活している中ではなかなか経験できないことを経験することができました。死生観についてもとても考えさせられたのですが、それ以上に力をつけることができたと思うのは【聴く】ということです。よく傾聴という言葉を用いていました。
きくって【聞く】と【聴く】がありますが、この2つの違いは何かご存知ですか?
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「話をきく」や「音楽をきく」などと言う場合の「きく」の書き方に「聞く」と「聴く」がありますが、この場合の表記の使い分けはどのようにすればよいのでしょうか。
ただ単に「きく」場合は一般に「聞く」を使い、注意深く(身を入れて)、あるいは進んで耳を傾ける場合には「聴く」を使います。「音楽を聴く」「講義を聴く」NHK放送文化研究所より
私は聞くというのは【音を通して頭の中に入ってくる】こと。聴くというのは【全身を使って感じ取る】ことだと思っています。
何かをしながら話を聞くのは「聞く」なんです。だって意識はその何かに向いているわけだから。手を止めて話しての方に身体を向けて話をするのは【聴く】なんです。身体を話し手に意識や身体を向けたことであなたの話を聴きますよって意思表示をしたわけですから。
どうやったら話を聴くということができるのでしょうか。話を聴くために身体や意識を向けて聴く姿勢に入るということは相手に興味を向けるってことに言い換えることはできないでしょうか。つまり相手に興味を持つということです。
相手に興味を持って話を聴くということは日常生活でも多いに役に立ちます。聴くという技術が長けていることでどういうことがうまれるのか。信頼関係です。
生きていく以上は人との関わりを切って生活するのは不可能です。あなたが話したいって思う方はどういう方でしょうか?少なくともあなたが話してもいいって思う方は話しても良いって思えた時点で相手の方を他の人と比較して突出している何かがあったはずなんです。少ない回数会った人じゃなくって会う回数を重ねて、この人なら話しても大丈夫って思った方ではないでしょうか。
3種類の話す
話すには3種類あると思っています。
①ただ話相手が欲しいとき
②愚痴を聞いてほしいとき(ストレス発散)
③相談したいとき(同意・意見を求める)
の3つです。
①のただ話を聞いてほしいときは、ふと寂しくなってしまったときや不安が強くなってきてしまったときに起こると思います。看護師をしていた時はこのような方が多かったように思います。なぜならば入院されている方は自分の病気のことや不安と常に戦っています。一人でいても考え事ばかりしてしまって、気がめいってしまうのです。毎回同じ話をする方もいましたし、ちょっとしたことが気になってナースコールで呼ぶ方もいらっしゃいました。
②愚痴を聞いてほしいときは、話しては聞き手に意見を求めているわけではありません。ただ話をして、同意してくれることを望んでいるのです。なので、愚痴に対して否定的なことを言ってしまうと、相手の人は気分を損ねてしまいます。話の根本的に間違っていることでも相づちをうったり、相手の言葉を繰り返して話を聴いていることを相手に示すことが必要になります。もう一度言いますが相手はあなたの意見を求めているのではなく、ただ聞いてほしいのです。
③相談したいときは、この時は話し手は自分の中で決断を決めかねています。私はこの意見にしたいんだけど、あまり自信がないから…これでいいか背中を押してほしくって。ということが多いです。
同じ話すなのに、話し手の深理は違うんですよね。でも共通してできることがあるんです。それは相手の人に興味を持って話を聴くということです。聞く人がいるから話が成り立つんですよね。人間は自分のことを話したい生き物なんです。質問されて自分のことを沢山話せるとあっという間に時間が過ぎちゃいますよね。それは充実した時を過ごすことができているからなんです。
それほど聴くってことは大切だし、聴くことができれば沢山の人のことが知れて会話が楽しくなります。仕事を通じて培ってこれた聴く技術だけど、聴くということは仕事以外でなく人生の中で沢山使うことができるんですよね。
技術がいいだけが看護師ではない
看護師という仕事は対人関係の仕事だから会話を避けては通れなかった。最初は人間の構造とか薬とかそういうことばかりに気を取られていたけど、とある時から対人の仕事なんだって思うようになって、
聴くとは大切なんだ。って気づくことができた。看護師をしているのであるから、技術があるにこしたことはない。技術がある人も確かにいいけれど、看護師として、患者や家族に好かれるのは
聴くのが上手な人。これは間違いない。
年数だけ重ねて、病棟だれもが認める技術の持ち主でも患者や家族からの信頼があるかっていったらそうではなかった。何を自分の看護観として求めるかにもよると思うけど、私は患者や家族に寄り添った看護師が良かった。寄り添った看護をして、退院した後にわざわざ病棟まで会いにきてくれるのは本当に嬉しいことだったよ。一生は無理だと思ったけど、看護師として働いたことはまったく後悔していません。聴くことの大切さを知ることができたから。
→私が看護師を辞めた理由。一生は無理だなって思った話。
まとめ
聴く技術は一生磨くことができるし、聴く技術に限界はない。看護師をしているしていないに限らず、どの場面でも使えることだから磨き続けるのみ。
そっじゃ!!
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